「子どもへのまなざし」を読んでの感想

佐々木正美先生の著作である「子どもへのまなざし」を読み、すごく感動して、誰かにこの感動を発信したくてブログを始めてみました。読んで頂けたら嬉しいです。

 

この本は児童精神科医である佐々木正美先生が、保育士や教師達との勉強会で話した内容をまとめたもので、子供の発達について語っています。

この本の中で私が特に勉強になったのは、乳幼児期に子供の要求を満たしてあげることが、人格形成において重要だという部分です。

子供の人格は「依存」と「反抗」を繰り返しながら育っていくため、依存することは心の発達において必要なことなのだそうです。

そして子供の乳幼児期というのは人格の形成において、建築でいうところの基礎工事にあたる部分であり、後からやり直すことが非常にむずかしいのだということです。その乳幼児期に子供の要求を出来るだけ聞いてあげる事が大切で、この時期に充分甘えられた子供は安心して自立していくのだそうです。甘やかすと依存心の強い子供になるということはなく、例えば子供のおんぶだっこの要求を叶え続けたからといって歩かない子になるということは絶対にないそうです。いつでもおんぶしてもらえると思うと、子供は安心して歩くようになるのだそうです。そういう意味では、保育士や幼稚園の先生の仕事というのは、やり直しがきく高校や大学の教師や教授より、よっぽど責任のある仕事なのだという事でした。

私が思うに、現在は早期教育が盛んで、保育園から勉強を始めていたり、与えられるおもちゃ等も教育を重視した様なものばかりある気がします。それを子供が望んでいるのであれば、それは素晴らしい取り組みだと思うのですが、ほとんどの場合望んでいるのは親の方ではないでしょうか。早期教育は心の発達の最重要時期に、勉強という競争意識を植え付け、子供に「勉強が出来なければ愛してもらえない」という条件付きの愛情を感じさせやすい部分があります。それはその子が親に安心して依存することが出来なくなり、質の悪い優越感や劣等感を与えたり、発育が進んでから依存体験を求めてドラッグやアルコールに依存したり、人を信頼出来ずに引きこもったり、本書では書かれていませんが、人格障害うつ病などの原因になってしまうこともあるそうです。

もともと早期教育の目的は、子供を優秀な子に育てて、幸せになってもらうためのものだと思います。ならば、結果を重視して子供の心を無視するようなやり方にならないように、子供の心を守りながら行っていけるように、親も社会も変わっていかなければならないと思いました。

 

また、この本では、他にも母親の育児不安や子供同士で遊ぶ必要性など、育児、教育に関して勉強になることがいっぱい書かれています。本当に素晴らしい本だと思います。

親や保育者だけでなく、おじいちゃんおばあちゃん、教師、人を雇用する経営者の方にもぜひ読んでいただきたいです。

私も4人の子を持つ親ですが、子育てと仕事とでゆとりがなく、イライラしたり、しつけと称して手をあげたり、子供を外に追い出したりした事もありました。しかし、この本を読んで、それがどれほど子供の心を傷つけていたか知りました。完璧には出来ないかと思いますが、これからは出来る限り子供を叱らず、追い込まず、子供の話をちゃんと聞いて、成長に幸せを感じながら頑張っていきたいと思います。